工学男子の日常

モノづくりが好きな男子の日記です。

ジェットエンジンを作りたい話

ジェットエンジンとは

 ジェットエンジン英語jet engine)とは、噴流(ジェット)を生成し、その反作用を推進に利用する熱機関である。(Wikipedia)

 基本的にはこれだけ。広義にはロケットエンジンが混ざってしまうんだけど、一般的には空気の吸い込みが必要なものがジェットエンジンとして認識されてる。

現在我々がジェットエンジンとして思い浮かべるのは「ターボジェットエンジン」か「ターボファンエンジン」であって、さらに範囲が狭くなる。

これらはターボってついてることからもわかるように、燃焼して発生した圧力の一部でタービンを回して、その動力で吸い込んだ空気を圧縮してる。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/45/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%8B%95%E4%BD%9C%E5%8E%9F%E7%90%86%28%E8%A9%B3%E7%B4%B0%E5%9B%B3%29.PNG

詳しい熱力学的な話はWiki読んでもらうとして(僕もあんまり理解してないし)、あらゆるエンジンは燃焼する前に圧縮すればするほど取り出せる仕事が大きくなる。

圧縮を行わずに大気中に放出した燃料に点火するとチャッカマンか火炎放射器になる。つまり作ったエネルギー垂れ流し。

取り出せた仕事が諸々の損失(摩擦とか)を上回るとタービンが回り始める。

作った仕事とタービンで空気を圧縮するのに使う仕事が釣り合うと、燃料吹くだけで回り続ける。いわゆる自立運転。

そしてタービン回転数が一定を超えると、作った仕事がタービンを回すのに取り出す仕事を上回って推力が発生し始めるというわけ。

これがターボジェットエンジンの仕組み。ここまで書いてなんだが僕も正しいのかわかってない。

 

お気付きのように実は圧縮にエンジン内部で作ったエネルギーを使う必要はない。

実際、初期のジェットエンジンは圧縮機を別のピストンエンジンで駆動したりしてた。これはモータージェットと呼ばれている。

ja.wikipedia.org

あとジェットエンジンとして動いてると思ったら、推力はほとんどレシプロで駆動してるタービンが生んでたとか言うマヌケな例もある。まぁ日本軍のツ11なんだけど、それなりに性能は良かったらしい。ダクテッドファンエンジンにアフターバーナー(某所からリヒートと呼べとお怒りを受けそう)付けた状態になってたんだとか。

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あと速度を上げれば吸い込むだけで圧縮できるラムジェットとか、タービンで動力の殆どを回収してプロペラとかファンを回して推力を生んでるターボファンターボプロップとかもある。

 

定義はともかく空気をなんとかして圧縮して、容器の中で燃料と混ぜて燃やせばジェットエンジンを名乗れるわけだ。

圧縮の方法

これもまた色々ある。

現在一般的に用いられているのは、燃焼ガスの圧力をタービンで受け止めてその軸に圧縮機のタービンの軸をつなげる方法。直結してあったら1軸式だし、途中でギヤで変速してたら多軸式とか呼ばれる。

燃焼室で燃えたあとの空気は当然とんでもない温度になっていて、流速を増すための膨張でわずかに温度を下げるとはいえ1800℃とかになっている。

ここのタービンが開発できるかがターボジェットエンジン開発の肝になっている。

思いっきり軍事技術だし防衛技術だし企業秘密だし大学も守秘義務がある。

国内だと弊学が盛んに研究してたり、みんな大好きIHIがトンデモ性能のセラミックタービンを開発製造してることがよく知られている(誰に?)。

 

燃焼ガスをタービンで受け止めたら圧縮機のタービンを回す。

圧縮タービンは主に軸流式と遠心式がある。詳しい話はWiki見てもらうとして、軸流式は流量が大きく、遠心式は単段での圧縮比が大きい(4倍程度まで)という利点がある。

ja.wikipedia.org

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どちらも多段化して高圧圧縮できるようになり新鋭機では最終圧縮比40倍とかになってる。

今の航空機はほとんど軸流式だけど、5段軸流で最終段に遠心とかヘリコプターだと単段軸流プラス遠心とかのパターンもある。

自作したい

ここからが本題である。

ジェットエンジンは見てきたように原理は特段難しいものでなく、ネット上でも作ってみた話が散見される。他のエンジンと比べてピストンのような精度が求められる部品が少なく、1軸式とすれば回転部品が一箇所だけになるためであろう。

とはいえこの部品は高圧高温の燃焼ガスを受け止め、数千rpmから場合によっては数万rpmで回転する。自動車用ターボチャージャを流用するのが一般的なようだ。

燃料としては灯油が用いられる。ガソリンと比べて発火点(自己発火する温度)が低く、体積あたり発熱量が大きい(比較的安全性も高い)。

あとパルスジェットもよく見る。

 

 

ここからは自分が今の環境で作るとしたら、という話で全部妄想レベルである。参考にはならんと思うし、はぁそういう考えもあるのね、くらいで見てほしい。

 

まず、圧縮段はモーターで駆動する。

初っ端からそれはジェットエンジンではないと怒られそうだが、モータージェットの例もあることだし構わないだろう。

なにが難しいってターボチャージャーがお高いのである。廃材屋の知り合いでもいれば別だが一般人がそんなホイホイ安く手に入るものではない。

(他の方は手に入っている。不思議。)

それに圧縮機がどうとか言っても、回転するだけの圧力が出なかったらそれでおしまいだ。他の方はブロワや掃除機で自立運転まで持っていってたが、そんなもん持ってないし自己始動はロマン。

それに工夫のしようがないし。

 

これには出力側の問題もある。自動車用ターボチャージャーなら最初から耐熱性のあるタービンが入手できるんだけど、自作するとなるとほとんど不可能だ。

モーター駆動なら燃焼ガスを受けるタービンは必要ないので、ホットセクションは圧力容器だけになる。溶接ができない僕は耐熱部品はできるだけ減らしたい。

 

具体的にはドローン用ブラシレスモータで遠心式圧縮機を回す。

インペラとかケーシングは全部3Dプリントかなぁ。

本職が聞いたら気絶しそうだけど、ダメなら別の方法を考える。

 

 

次に燃料であるが、これは気化させるのがとっても難しい。

ベストは燃料に圧力かけて細孔から噴霧するパターンだけど、実験してみないとなんともわからん。

売ってるポンプスプレーってすげーよなぁ。

ガスコンロ用の液ガスなら100均でも買えて吹き付けるだけだから、簡単かなと思ってる。

圧力容器内に吹くのか予混合しておくのかとか、いろいろあるけどここは実験次第。

混合比で変化するものだし作ってみないとなにもわからないというのが正直なところ。

 

 

燃焼容器(圧力容器)はデカい缶構造のもの。

イメージの数倍広くないと燃焼しないぞ、という記事を見かけた。

この手の工作には廃棄された消化器が定番だけど手に入るかどうか。

最初は飛ぶほどの推力生むほどの圧力かけるつもりはないので、大きめの缶でなんとかならないかなぁ。バイクのエンジンオイル缶とか。

まとめ

とにかくバッテリーで回したモーターより大きな推力が出てればジェットエンジンと言い張れる(はず)。

そこまで行ったらノウハウも貯まるだろうし、モーターからタービンにしたりして段階的に進めていく。

 

いつ始めるかもわからないし、色んな意味でかなり非現実的な話をしてる気がする。でもなんだかんだ言って高校から温めてた計画だし、文字にできたのは大きな進歩だと思う。

なんとか大学在学中に取り組めたらな、くらいのテンションで進めていきます。

(まぁたぶん社会人になっても同じようなことやってそうだけど。)