CD125Kが物置から出てきた話① ~発見編~
じいちゃんの物置
うちの母方の祖父(以下じいちゃん)は小さな食品工場を経営していた人である。
今年の春に食品衛生法の改正と体力の限界(もうすぐ米寿)が一緒に来て廃業した。
それまで現役バリバリで祖母と二人で工場を切り盛りしていた、頑固一徹、とにかく真面目で仕事が趣味といった感じのオヤジである。
そんなじいちゃんの唯一の道楽が乗り物である。
母から聞いた話によれば自動車は
・スバル レオーネ
・日産 GT2000 スカイライン
・スバル サンバー(配達用)
と乗り継ぎ、なんとスカイラインはまだ現役(ときどきドライブする程度)である。
いわゆるハコスカというやつで、どう考えても40年は乗っている。
国内で実動しているのは年式で分けるなら二桁は確実、ヘタをすると一桁という代物である。
それでもこないだ「年をとって運転が辛くなってきたなぁ」といってATのインプレッサを買ってらっしゃった。じいちゃんやるなぁ。
スバリストを自認するじいちゃん、最後はスバル車に乗りたいという思いもあったのかもしれない。
これに加えてバイクにも乗っていたわけだ。
今回出てきたCD125Kはカワサキのエリミネーター250を買ったためにしまい込まれたらしい。
発見
最初にCD125Kを見つけたのは、スーパーカブを見せてもらった時である。
廃業したのに合わせて、今までメインで使っていたサンバーを売ってお買い物用にカブを買ったのだそうだ。
もともとスカイラインの車庫だったらしい物置(今は2台入る車庫が別にある)のシャッター(超ギシギシ)を開け、手前にカブが置いてあった。
その奥の積まれた荷物の下にどうもナンバーらしきものが見える。
それが段ボール箱の棚として活用されていたCD125Kであった。
(この写真はだいぶ片付いていて、というか掘り出してあって最初は完全に埋まっていた。ナンバーは外してある)
どうも金属部分に錆は少ないし、タイヤもスムーズに回る。
そのとき僕は夏休みに入った事もあって、なにか打ち込めることを探していた。
そういうわけで引き取って修理することを申し出て、快諾をいただいたのである。
状態
後日様子を見に行くと伝えたら、掘り出して拭いておいてくれた。
やはり錆はほとんどない。
タイヤも空気を入れたらしく、ふつうに押せば転がる。
エンジン。マフラー2本、プラグも2本。
事前に聞いていた"CD125"というワードを頼りに調べた結果では、単気筒のCD125Tしかヒットしなかったので混乱する。
どうも型番はCD125Kというらしい。
このときはCD125Tの派生かなんかかな?とか考えていた。
キャブレター。かすかにケイヒンのロゴが読み取れる。
うーん、どう見ても流路は1本だよな。
なまじ先輩のGB250(単気筒なのにエキパイが2本)を見慣れているため、まだ単気筒なんじゃないかと疑っていた。
今考えるとフォロワーさんが乗ってるCB125T(125ccなのに2気筒)を思い出すべきだった。プラグ2本で単気筒ってどんな特殊エンジンだよって。
マフラー、リアサス。
干支が5周してる車体でこの状態は凄い。
物置がよほど乾燥していたのだろうか。
左右のシールド、フロントフォーク。
シールドは左右とも割れ、歪みがあった。
樹脂部品だしビジバイとして酷使されていたらしいので致し方ない。
ガソリンを抜いて保存していたらしく、ガソリンタンクはキレイな状態だった。
そして詳細な整備記録と各種書類。
走行距離、トラブル、消耗品交換とあらゆる情報が、昭和の人のえらく達筆な略字で記録してあった。
その後写真とともにTwitterで聞いてみたところ、なんと数十分で情報が届いた。
この車体はCD125Tの先代のCD125Kですね。年式別でK1~K6までありますが、恐らくエンジン形状からK5かK6だと思われます。S52年ってのもその時まだ生産してたはずなので正しいと思いますね。エンジンは4st125cc2気筒SOHCです。キャブはケイヒンの負圧キャブです
— おぺら (@OperaLegend) 2020年8月14日
もともとフォロワーさんから流れてくるツイートで「チビT界隈(CB125Tを崇める宗教団体)」なるものが存在していることは知っていたが…すごいぞチビT界隈。
さらにパーツリストのURLやバッテリーの互換の情報も頂いた。
ここまで揃えばなんとかなりそうだ。SNSやってて良かった!!
まとめると、保存状態は極めて良好だった。もしかすると消耗品交換で動くかもしれない。
コマメに整備して記録し、ガソリンを抜いて、乾燥した物置で保存したじいちゃんの功績である。
ここまでくると流石としか言いようがない。
商売してる真面目な人ってのは凄いなぁ。
スカイラインがいまだに走る理由がわかった気がする。
次回