ロケット電装の作り方(5)
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2.5 部品調達
2.5.1 調達方法
電子部品の調達・会計は部品点数が多いなどの理由で他班と趣の異なるも
のになる。いちいち型番を報告し許可をもらって、という手順を踏んでいると
開発に遅れがでるので部品代としてまとまった額をプールし、会計担当者が
購入した物品を取りまとめた方がスムーズに進む。また一度にまとめて大量
に購入すると単価が下がるうえ送料の節約になるので、毎回使うような部品
は電子班として購入して備品としたほうが良いかもしれない。
購入先はいくつかあるが一番わかり易いのは実店舗で購入することだろう。
確実かつ即座に送料無しで部品が手に入るし、詳しい店員さんなら相談に乗
ってもらうこともできる。しかし欲しい部品を取り扱っていない場合が多い
し単価もインターネットで購入するより割高なので、すぐに部品がほしいと
きのみ利用する。なお購入の際はレシートと領収書を忘れずに保管する。
インターネットで部品を購入する方法としては電子部品専門サイトから購
入する方法と一般のネットショッピングサイトから購入する 2 つがある。
専門サイトで代表的なのは秋月電子である。品揃えもよくかなり短納期で
届く。単価も実店舗と比べると安い場合が多い。送料が 500 円かかるのでな
るべくまとめて注文する。よく使われる部品のほとんどは取り扱っているの
でどの型番の部品を使うか検討する段階でも役に立つ。その他の専門サイト
としてマルツオンラインと Digi-key がある。この 2 サイトは提携していて UI
も似ているのでまとめて紹介するが、非常に高度な絞り込み検索機能を持っ
ている。例えば FET なら定格電流だけでなくパッケージングやしきい値電圧
での並び替えも可能である。またグローバル部品サプライヤーである Digikey と提携したことで秋月より豊富な在庫を保有している。マルツオンライン
から Digi-key の在庫を取り寄せて店舗受取りにすると送料無料で購入できる
ので便利である。
上記の店舗、専門サイトは最も間違いのない方法なので失敗が許されない
短納期の開発ではそちらを利用したほうがいい。ここから紹介するのは本当
に費用を安く抑えたい、かつ時間が十分にある場合に使える方法である。なぜ
このような書き方をするのかというと発注から納品まで 1 ヶ月は当たり前、
途中で荷物が行方不明になったり偽物が送られてきたりといった事例がある
からである。中国版 Amazon ともいわれる AliExpress を利用すると電子部品
の街深センから原価で部品を仕入れることができる。部品によっては単価が
専門サイトの十分の一以下になることも珍しくない。一般の通販サイトなの
で当然絞り込みなどはないから型番を決めてから検索をかけると良い。それ
か「FET SOT-23 50V」などと検索しても見つけることができる。おそらく同
じ部品を複数の業者が出品しているのでなるべく多く注文されている業者を
選んで発注すると比較的安全である。それでも国内価格と比べて異様に安い
場合はレビューを注意深くチェックしたほうがいい。実際に電子班で注文し
たレギュレータが通電すると即座に発煙する偽物だった事例がある。それで
も当たりの業者を引けば激安価格で部品を購入できるので覚悟できる人には
ぜひ利用してもらいたい。購入する場合は 100pcs(piece:100 個入り)など
の単位でまとめて購入すると安くなる。チップ部品などは失敗などで案外使
うのでかなり多めに買って問題ないと思われる。
2.5.2 代表的な部品
以下に各部品で代表的なものを記載しておくので検索の助けとして欲しい。
9 軸:
- MPU9250:6 軸センサの MPU6050 に磁気センサが追加されたもの。うまくするとQuaternion が出力できる内蔵処理チップ(DMP)が使えたりするが前述の構造のせいで扱いが難しい。それでも安いのでライブラリがあればお得。
- LSM9DS1:FIFO やフィルタなど機能が多いが DMP はない。作りは素直なので動かすだけなら簡単だが使いこなそうとすると長大なデータシートと格闘することになる。とても高いがマルツで売っている。
- BNO055:DMP 内蔵でそこまで高くない。
気圧センサ:
- BMP085、BMP180、BMP280:同じメーカーの同じシリーズで同じプログラムが動く。
GPS:
- AE-GYSFDMAXB、NEO-6M(-7M・-8M):9600bps の UART で NMEA フォーマットなので精度とか細かい仕様以外はピン配置が違うだけ。
通信モジュール:
- IM920:データシートは日本語で読みやすい。応答時間のフォーマットがソフト屋泣かせ。
- Xbee、Zigbee:かなり以前からある通信モジュール。
- TWE-Lite:トワイライトと読む。低電力通信モジュールのルーキーだが使ったこ
- とないので性能はよくわからん。
コネクタ:
- XH コネクタシリーズ
レギュレータ:
- AMS1117(1117 系):低電力の LM1117 とか色々ある。3.3V0.8A、5V1.2A などバリエーション豊か。普通の性能で色んな製品に使われている。安い。
- ADP3338-AKCZ:超 LDO でドロップは驚異の 190mV。3.3V 1A が供給できる高性能で国内価格は 1 個 300 円もする。Aliexpress ではほとんど偽物。
- 2SJ681:Pch MOSFET で一番一般的なものでマルツでも売っている。リードなので表面実装には足を曲げる手間がある。60V8A もあるのでもっと小さいもので置き換えたい。
- 2SK4017:Nch MOSFET で一番一般的なもの。
開発ボード&マイコン:
- Arduino:Atmega328P というマイコンを積んだボードと開発環境 ArduinoIDEのセット。Aliexpress なら最安で 200 円から手に入る。電源系が内蔵されているので実験や小規模電装には便利。通信 IO や RAM、FLASHの少ないので大規模な電装には使えない。
- Mbed:積んでいる CPU やメモリの違いでいくつかのバリエーションがある。開発環境がブラウザなのが特徴。6 千円もする。
- STM32:パッケージやメモリの違いで種類が多い。STM32F103C8T6 を積んだボードが 160 円、チップ単体が 100 円で出回っている。ArduinoIDE に追加パックを入れれば Arduino と同じプログラムが動く。公式には対応してないが実は Mbed も動く。チップ単体で購入して周辺回路を自作してやれば小型軽量安価。機能が多い分使いこなすにはかなり知識が必要。
- ESP32:CPU が 2 つ載っていてメモリも速度も(マイコンとしては)超高性能機。開発は ArduinoIDE を使うことが多い。余計な Wi-Fi までついてくる。CPU2 つで通信と処理を同時にといった用途が考えられるがそこまでの要求が今の所ない。
表面実装(SMD)用パッケージで代表的なもの
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